シンデレラと魔法使い
シンデレラと魔法使い
式場から駆け出した私は、レオと行った海に向かうためウエディングドレスで走っていた。


「レオ…」


ウエディングドレスとなれない靴が私を邪魔する。


式場のまわりはあんなに大勢の人がいたのに、このあたりは人一人いない。


「どこ…?」


正直いうと、あまり場所を覚えていない。


それでも私は、どこかへ向かって走っていた。

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冷たい風が体に吹き付ける。


国中はお祭り騒ぎでも、このあたりは静かだった。


「アンヌ……」


来るわけない。


頭では分かっていた。


ついつい嫉妬してあんなひどいことを言ってしまった自分のところへなんか絶対来るわけないと。


それでも、諦められなかった。


最初は、ただのバカだと思っていた。


舞踏会に行きたいのにそれを躊躇しているアンヌに対してイライラした。


それなのに、本当の自分を見せてくれるアンヌにいつの間にか惚れていた。


「会ったっていってもほんの数回なのにな…」


自嘲的な笑みを浮かべる。


「待ってるなんて、どっかの少女マンガかよ…」


日はまだ昇っているものの、いつの間にか辺りが薄暗くなっていた。


「帰るか…」


もう何回、口にしただろう?


口にはだせても行動に移せないのだ。


「ホントに…帰ろう…」


小さく呟き、今度は腰をあげた。


「来てくれないのがこんなに辛いなんてな…」


指をパチンッとならして魔法のじゅうたんを呼ぶ。


自分の下へ降りてきた絨毯に乗ろうとしたときだった。


「…ォ!!」


ふと、名前が呼ばれた気がした。


「まさか…な…」


「……オ!!……レオ!!」


声がしたほうえを振り返るとそこには………



アンヌがいた。





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