だぁーい好きっ♪♪
川野先輩はなんでもないようにそう答えて、みんなに脚本を配る。
この脚本を覚えて、動きもつけて、照明から音からぜーんぶ部員でやるらしい。
…意外とすごいと思う。
劇の内容的には、生放送ってだけでドラマと変わらないレベルだ。
「1時間の劇って、A4の紙にワープロ打ちで、50枚分くらいなんだってさ。」
ご、50枚!?
…恭平の言葉は、聞き違いではなさそうだ…。
「じゃ、始めるよー。よーい…パンッ!」
―――夕暮れの教室で、サヨ(私の役)はつぶやく。
「…行かなきゃ…。」
「待ってくれ!」
それをとめる、隼人(神門の役)。
…それは、かぐや姫の現代学園バージョンだった。
「姫…迎えに来ましたよ。」
にこやかに微笑むは、天女(夏樹)。
ドスッ…!
そして、天女に刺さる矢。
矢を放ったのは孤独な狩人(小林)。
「高く売れそうだな。」
力を制御できずに乱れるサヨを見て、隼人は…命を張ってサヨを月に返す。
2人は時空を超えて…年に一度だけ手紙を交わす。