見えないモノと、指の銃。
プロローグ
……何だか体がだるい。
いつもと変わらない1日を終えて、
さっさと帰ろうと、席を立とうとした。
その時だった。
……頭に、何かが当たった。
少しの痛みに振り向くと、
そこにはネクタイの色からすると
恐らく後輩なのであろう奴が立っていた。
彼は廊下に面した窓から、
指を銃の形にして、
それを俺につきつけていた。
そして、言う。
「殺してあげましょうか?」
「……その、手で?」
思わず哂ってしまう。
< 1 / 220 >