見えないモノと、指の銃。
勝手に飛ばされた先の動画サイトは、
見てる人のコメントが流れていくヤツで、
……あれ?そういえばここは、
ログインしなきゃ見れなかった気がする。
なんで普通に再生されてるんだ。
そんな疑問も浮かべながら、
だけど消せないから、どうしようもなく画面を見る。
一応、強制終了させてみようともしたけど、無駄だった。
唯一の救いは、
音の小さい動画だという事だろう。
聞き取れ無い位の音量で、
何か、これまた何語なのか、意味のある言葉なのかも解らない程の、呪文のような声が聞こえているだけだ。
これで大音量の音楽が流れたりしたら面倒だった。
そして問題の動画は、と言えば。
まず現れたのは、女の人の顔のアップ。
目は見開いていて、
何かに苦しんでいるかのように、表情が歪んでいる。
流れているコメントは、
『ぅおう!』『びびったwww』『何コレ…』といった物で、俺も大いに同意できる。
いきなりドアップなもんだから、
思わず怯んで、椅子をガタッと揺らしてしまった。
その音を聞きつけたのか、
隣に座って、だけど横の、別のクラスメイトが見ているどこかのページを覗き込んでいた萩原が、こっちを見た。
因みにPCの台数の関係で、2、3人で1組になっている。
嫌な予感がするから、
せめて見るのは俺1人だったらよかったのに。
そんな俺の願いも知らずに萩原は、
少し隣に寄っていた椅子を引き摺って、こっちに戻ってきた。
「何それ、あれ?呪われるヤツ?!」
……ちょっと嬉しそうなのは何でだ。