見えないモノと、指の銃。
「いきなり悲鳴聞こえて、びびったなー」
「そうだなー」
怒られた後、俺と萩原は、
他のみんなより少し遅れて、教室へ戻る為、廊下を歩いていた。
「音、無いと思ってたから油断した!」
「いや、ずっと何か言ってただろ?」
意味は解らないけど、変な声は聞こえていただろうに。
……油断してた事には変わりないが。
「え?何も聞こえなかったっしょ?」
「…………そうだった、か、な……」
……スピーカーは左右についていて、
ちゃんと両方から音が出る事は確認済みだ。
じゃあ。
あれが聞こえてたのは、もしかして俺だけ?
歯切れの悪い俺に、なんだよー?と
不思議そうに見てくる萩原。
彼を半分無視し、
適当な返事をしながら、
嫌な予感を再び感じていた。