見えないモノと、指の銃。
中々追いつけないまま、7階まで来た。
そうして、そこで違和感に気づく。
……足音が、下から聞こえる。
一度立ち止まってみると、
上からではなく下から。
カツン、カツンと、響いている。
他の物音は無い。
この建物の作りは知らないけれど、
上にいた人物が、
いきなり下に来れる訳は無いだろう。
エレベーターだって使えないんだし。
徐々に足音は大きくなり、
俺の居る階に近づいているのだと分かる。
とりあえず、階段から移動しよう。
ここは心霊スポットなんだ。
俺たちが来る前に、
肝試しに来ていた人がいたのかもしれない。
……まだ昼間だけど。
それに、廃墟だ。
電気・水道が使えないにしても、
雨風はしのげる。
ホームレスが使っていたのかもしれない。
きっとそんな感じだろう。
なんにせよ、
鉢合わせないに越した事は無い。
俺は7階で階段を降りた。