見えないモノと、指の銃。


中々追いつけないまま、7階まで来た。

そうして、そこで違和感に気づく。


……足音が、下から聞こえる。


一度立ち止まってみると、
上からではなく下から。

カツン、カツンと、響いている。

他の物音は無い。


この建物の作りは知らないけれど、
上にいた人物が、
いきなり下に来れる訳は無いだろう。

エレベーターだって使えないんだし。


徐々に足音は大きくなり、
俺の居る階に近づいているのだと分かる。


とりあえず、階段から移動しよう。


ここは心霊スポットなんだ。
俺たちが来る前に、
肝試しに来ていた人がいたのかもしれない。
……まだ昼間だけど。


それに、廃墟だ。
電気・水道が使えないにしても、
雨風はしのげる。
ホームレスが使っていたのかもしれない。


きっとそんな感じだろう。

なんにせよ、
鉢合わせないに越した事は無い。


俺は7階で階段を降りた。


< 11 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop