見えないモノと、指の銃。

俺が向かっていたのは、大きめの公園。

最近はあんまり見かけなくなった遊具もたくさんあるのに、何故か子どもの姿は少ない。

小学校も近くにあるし、遊び場に最適だと思うのに。

居るのは、親子で散歩している数人だけだ。


「懐かしい……ああやって手を繋いで、
一緒に散歩したなぁ……。
でも早く遊びたくて手を離して、
転んで転がってって、池に落ちて怒られた事もあったっけ」

ね?と同意を求められたって、
どんな場所を散歩してたんだ。としか言えない。


「怒りませんから、手を離してください」

「嫌です!」

即答された後も続く、
妄想であろう思い出話を聞かされながら、
奥の方へと進んでいくと、待ち合わせ相手を見つけた。

相手は、また何かを頼まれたらしい三枝だ。

ベンチに座っている彼も、俺に気が付いたらしい。


「こういう所で先輩を見ると、
ある意味物凄く似合ってますね」

まあ、俺だけですけど。とそう言うのは、
彼の視界だと風船だらけだからなんだろう。


「で、その人誰ですか?」

「……俺が聞きたい」

そしてどうにかして欲しい。

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