見えないモノと、指の銃。


「させてあげれば、いいじゃないですか」

吹き出しそうになりながら三枝が言う。

「ちゃんと本物、ですから」

視線は加々美さんの頭上だ。
何かが見えているらしい。
それはなんなのかと聞いてみた。


「前世の心残り。って書いてますね」

読み上げるようにそう告げた。
その間にも、腕を掴む力が強くなってくる。痛い。

「必ずしやお役にたちますから!」

……何かもう、ますます訳が解らなくなってきた。何キャラだ、この人。

そう思うと同時に、どうでもよくなってきた。


「それじゃあ早速、
親孝行してもらいましょうよ。
今日は人手がいりそうですから」

三枝がそう言うし、じゃあもう、さっさと手伝って貰って、親孝行を済ませてもらおう。

何でもいいよ、とにかく離してくれるなら。

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