見えないモノと、指の銃。


「かっ、加々美、さんっ!」

広い。

やっぱりこの公園は、子どもで溢れているべきだろう。
たくさんの遊具も砂場も、しんと静まり返っている。

芝生も手入れが行き届いていて綺麗なのに、静かすぎて、どこか不気味だ。


その広い公園で、俺のはるか先にいた加々美さんにようやく追いつく頃には、息切れを起こしていた。


そして事故に遭うだとかいう、噂の続きを伝える。

「知ってますよ、噂」

「そうですか。
なら、もう少し距離を開けずに探しましょうよ」

縦にも広いけど、ここは横にも広い。
すぐにどこに行ったのか分からなくなってしまいそうだ。
そして何かが起こってしまったら。


「心配……してくれたんだねっ!」

「それはそうですけど、でもそうじゃない!」

飛びついて来そうな彼をかわす。
彼の想像する俺の気持ちと、実際とでは何かが大きく違う気がしてならない。


「とにかく、あんまり遠くまでは行かないでくださいね」

「はーい!」

少人数だけど団体行動。をするよう言うと、子どもらしい返事が返ってきた。やめて欲しい。

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