見えないモノと、指の銃。
俺と弟は1学年違いで、母親が違う。
物心ついた時にはすでに、
今の母さんだけが母親だったから、
どっちがどっちの生みの親なのかは知らない。
わざと知らないように躱しているのかもしれない。無意識に。
だけど、分かる。
俺よりも明らかに弟を優先して可愛がっているからだ。
小学校に上がる頃にはもう、どこかで理解していた。
末っ子だから。
アイツの方が出来がいいから。
そんな理由をつけてみるけど。
そういえば、もう1人いるはずの人は、写真でも見た事が無い。
何か揉め事があったかもしれないことは容易に想像できる。
だけど、それは父さん達の問題だ。
俺は何も、悪くない。
そうやって言い聞かせてきた、今までの記憶。
弟だって、優越感に浸ったり、
何事でも簡単に追い越せる俺を、見下しているんだろう?
俺に向かい、笑う弟に、そんな疑念を抱く。
この夢は、一体俺をどうしたいんだ。