見えないモノと、指の銃。
「昔々に子どもを家の先祖に奪われた女が
取り戻そうとやってくるんです。
だけどもちろん、子どもは居ません。
だから代わりに誰かを連れて行くんです。
彼女が来るのは、
以前は人が死んだ時だったんです。
誰かが死んだら、納骨まで、
家の者は皆、寝る時に
枕元に鏡を置くんですね。
そうすると、女が来ても、
自分しかいないんだと思い、帰っていく。
だけれど数年前に、
置くのを忘れてしまった子がいたんです。
それは俺の はとこ と、彼の幼馴染で、
遊びに来ていた女の子でした。
はとこには何も無かったんですが、
女の子どもは女の子だったらしく、
幼馴染が見てしまった、らしいんです」
おそらく、女の姿を。
曖昧なのは、他の誰も、その姿を見ていないから。
すぐに、一緒に寝ていた子が目を覚まし、
途端に女は居なくなったらしい。