見えないモノと、指の銃。
「それでも戻るのは、
目を覚ますのは嫌だって言うんなら、
やむなく撃つ事も考えますけど」
八紀は大事な友達ですから。
どうしますか?と、聞いてくる三枝。
……そんなの、聞かずとも解ってる癖に。
今はじめて、俺は彼と目が合っている。
それはつまり、
彼の視界を遮るものが、
少なくとも目の周りからは消えたという事だ。
撃たれてもいないのに、体が少し軽い。
「戻るよ。
だけど……」
どうすればいいんだ?
そのままの通りの風船が出たらしい。
三枝の視線がチラッと揺らぎ、噴き出した。
笑うな。楽に予想できた事だろう。