見えないモノと、指の銃。
幸いな事に、何ヶ月もはまだ経っていない。
ただでさえ中の中が限界な成績だけど、
死ぬ気でやれば、なんとか取り戻せるだろう。
退院して、今日が初登校日。
早くから用事のあるらしい八紀は、
渋りながらも先に登校して行った。
俺はいつも通りの時間に家を出る。
「あ、入野!」
呼ばれて振り返ると、そこに居たのは萩原だった。
……そういえばコイツも、
俺たちと同じ、歳の差が1つの兄弟だったか。
俺の頭は、なんとも騙されやすい作りだったらしい。
自分自身で簡単に誤魔化されていた。
久々で色々と話した気な萩原をどうにか先に行かせ、何となく1人で歩く。
まだ時間はあるから、ゆっくりと。
……早く体力も全快させないとな。
そんな事を考えながら歩いていると、
またしても背後から声がかけられる。
「おはようございます、先輩」
三枝だった。