見えないモノと、指の銃。

「そう、風船。
悩みとか悪意とか望みとか
そういう物で出来ていて、
中身が書いてる風船なんです。
俺以外には、見えないみたいですけど」

言いながら、
俺の周りの空間を突いている。


「先輩の風船、すごい数なんですよ。
いくつか撃ったんですけど、
またすぐ出てきちゃうし。
多分、ありすぎて見えなかったんじゃないですか?」

本当は俺、見える人なのだと、
三枝はそう言った。



「……見えないモノが邪魔するか?」

「透明に見えたって、
完璧に透けているとは限らないし?
俺も解りきってないですけど」


苦笑して、彼は続ける。


「とにかく先輩はありすぎ。
だってまだ顔さえ見えないんですから」

「は?」

「俺、実は先輩の顔、見た事無いんです」

風船本当、多いですよ。と、
俺には見えないそれを弾ませた。


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