見えないモノと、指の銃。
「やっぱり先輩、見つけやすいですね」
そういう彼の視線は、俺の周りの色んな場所を彷徨う。
「……すぐに全部消せったって、
無理に決まってるだろ」
それでも顔は見える程度のままらしい。
それだけでも、結構な進歩じゃないだろうか。
「そうですね。便利だし、
これからもよろしくお願いします」
その言葉に嫌な予感が止まらない。
感じた通り、また
おとりに使われたりする日々が続くけれど
それはもう、日常になっていく事で。
だけどこの時の俺は、
そこまで予想はせずにとりあえず、
あの日言い損ねた分、
便利だと?道具扱いかよと、
その事で怒鳴りつけてみる事にした。
その後すぐに、
普通の人には見えないモノにぶつかって、
何も言えずに終わる事も知らずに。
……奇妙な日常は、終わってくれない。