見えないモノと、指の銃。
「一怪、百円ですよ?」
宙に文字を書きながら彼女は説明した。
ああ、これは萩原、
買わなくて正解だったんじゃないか?
だからひらがなか。
そう納得していると、彼女は語りだした。
「ある所に、少女が居ました。
少女の先祖はたくさんの恨みを買い、
それが今の時代にも受け継がれています。
買うというからには、
お金を代償に貰っていました。
他人の恨みを、買っていたのです。
それが消える事無く、
無関係の恨みが付き纏います。
だからたくさんの人が、
少女を見ているのです。
いつも、どこでも。
大勢の霊に付き纏われる少女は、
ある日友達にその話をしました。
するとその友達は言いました。
『それじゃあ、
あなたも売ればいいじゃない?』
なるほど、と少女は思いました。
幸運な事に、
少女は容姿に大変恵まれていたのです。
引っかける人間はより取り見取りです。
だけど、そんな簡単に手放せるのか?
そんな風に思いませんか?
大丈夫。
だってほら、
あなたを見てる、
視線を感じるでしょう?」