見えないモノと、指の銃。
『バン』と、声には出さずに
後輩は口の動きだけで言った。
その言葉に沿うように、
見えない何かが、俺の胸にぶつかった。
何も無い、はずなのに。
確かな衝撃がそこにはあって、
一瞬、息が詰まる。
しかしすぐにそれは消えて、
代わりに、感じていた体のだるさが
何故だか消え去っていた。
「ね?
殺せたでしょう?」
そう言って後輩は、ニヤリと笑った。
彼は一体、俺の何を殺したと言うんだ?