見えないモノと、指の銃。
03.隠れ鬼
「俺さ、霊感あるんだよ」
そう自慢げに言い、
怪談話を始めたクラスメイト。
その言葉が嘘である事を、
俺はこの場の誰よりも知っているだろう。
何故なら。
「その時、後ろから
誰かが歩いてくる足音が聞こえたんだ。
だけど後ろにあるのは壁。
誰の姿も見えなかったんだ。
足音だけが響いている路地。
少しずつ、それは近づいてきた。
真後ろまで音が来た時、
ガっと肩を掴まれたんだ。
『いるのよ』
甲高い女の声が、そう言いながら。
その噂の幽霊は、
俺に着いてきていたんだよ。
きっとね、救って貰いたかったんだろう」
成仏させてやったのだという彼。
だけどその背後には、
髪の長い幽霊が付き纏っている。
肩を、掴みながら。
それも、女じゃない。
髪は長いが、そいつは男だ。