見えないモノと、指の銃。
その男は、彼の後ろで呟き続ける。
「いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いるよ、いる、よ。
いるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよいるよ」
おかげで俺は、彼の話す話も、
目の前の萩原の声も聞こえなくて困る。
そいつだけじゃなくて、
何に呼び寄せられたのか、
段々と見えないモノの数が増えてきている。
彼の後ろに、前に、
他のクラスメイトとの間に。
ただでさえ人でいっぱいの教室が
隙間なく埋まっていく。
実際の人数は変わらないだろうに、
何故だか空気が薄く感じてきた。
その息苦しさに耐えられなくなり、
俺は窓を開けようと立ち上がった。