見えないモノと、指の銃。
教室から出れば、
そこはいつもと変わらない校内。
別に何も居ないし、追いかけても来ない。
ビビり損なのかと息を吐いていると、
萩原が窓の外を指さして言った。
「なあ、あれ……なんだ?」
その窓は、向かい側の、
玄関の方が見える場所だった。
指先を追うと、
そこにはクラスメイトが数人、
外へ向かって走っていた。
1人がドアに手をかけるも、
どうやら開かないみたいだ。
何をそんなに慌てているのかと、
彼等の背後に目を移してみる。
そこには、
黒く大きな塊がいた。