見えないモノと、指の銃。
疑問しか浮かばせていない俺に、
後輩は自己紹介を始めた。
「俺は三枝 永(さえぐさ えい)1年。
こんな手を持っています。
先輩の名前は?」
「……入野 七音(いりの なおと)」
聞かれたので、仕方なく答える。
……『こんな手』と言われても、
その実態をいまいち信じきれないし、
そもそも何なのか、解らない。
不審げな視線を感じ取ったのか、
後輩は勝手に語り始める。
「この手はね、夢で神様に貰ったんです。
見えないモノを撃って、殺す事が出来る」
夢で?神様に?
なんだか痛々しい人だ。
だけどひとまず、それは置いておこう。
見えないモノ。
それはつまり……
「幽霊、とかか?」
「それも含むし、人の後悔や悩み、
そんなモノも撃つ事が出来ます」
さっき俺は、何を撃たれたんだろう?
考えた瞬間に、
後輩はまた口を開く。
心が読まれているようで、
非常に気色が悪い。