見えないモノと、指の銃。

死にたいと言いつつも、
何もしない少女と、
十数分、会話を交わす。

それが最近の俺の日課になった。


今日も少女は言う。

「死にたいの」

そして今日は続けて、

「だけど、どうして飛び降りないか
あなたわかる?」

その問いに、首を振る。

2人で窓枠に、
細い金属を挟んで座って。

隣の少女は笑って言う。


「1人じゃ寂しいからよ」


一緒に死んでと、彼女は言った。

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