見えないモノと、指の銃。

ぼんやりと彼女の手を見つめ、
自分の手を伸ばしながら
そんな事を考えていると、
突然にガラッと扉が開いた。


「……何してるんですか?」


うわあと言いたげな三枝の視線。
既視感。

いつの間にか、掃除が終わる程時間が経っていたんだろうか。


うっかりと手を繋いでいた、俺と少女。

そのままで彼女が言う。


「死にたいのよ」

「……死にたいんだってさ」

なんとなく、俺はオウム返しをする。


何に対してだか、
三枝はため息をついた。


「先輩、その子死んでますよ」


ああ、知ってるよ。

今度は三枝の手を見つめながら思う。

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