見えないモノと、指の銃。

……まあ、変な夢ぐらい。
普通に過ごしていたって、どこもおかしくない夢の方が珍しいんじゃないか?

そう思い直し、さっさと着替えを済まそうと起き上がった。



たまたま重なっただけ、
もしくは『何かを探す』という、その行動が頭に残っていた所為だ。

学校へ向かう道すがら、そう自分に言い聞かせ、歩いた。


所詮、夢だ。
俺が気にしすぎていたから悪いんだ。

自分にそう順調に刷り込んでいく。



曲がり角に差し掛かった所で、道路の真ん中に何かが落ちていた。

それは白い、腕。

指先が曲がっては伸びてを繰り返し、
まるで俺を呼んでいるかのように見えた。

これじゃ今日の夢みたいじゃないか。

嘘だろ?と数回、瞬きを繰り返す。
だけど目の前の光景は何も変わらない。

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