見えないモノと、指の銃。
――通称、幽霊マンション。
ここは、そう呼ばれていて、
完成後の入居前に、
事業者の会社が倒産。
この建物で、首を吊っていたらしい。
もちろん会社が潰れたら
困るのは1人だけじゃない。
その後も相次いで数人がここで自ら命を絶った。
そして彼らが今でも、
このマンション内をうろついている。
そんな噂がある。
三枝は、その噂に出てくる彼らをどうにかしにきたんだろうか。
階段を上る彼の背中を追いながら、そんな事を考えた。