見えないモノと、指の銃。
ふいに、何かがはじけた感触がした。
それは最近、毎日体験してるもので、
三枝が教室に来て、俺に浮かんでいた、
多分恐怖とかそんなモノを撃ってくれたんだろう。
ああ、でも、ちょっと遅い。
もう少し早くにしてくれればよかったのに。
間に合ったのに。
腕で、勢いをつけたら、
どうにか立ち上がれないだろうか。
そう思い立って、怖さが無くなった瞬間、
後ろ手についた腕に、思いっきり力を入れた。
そうして、体が少し浮いて、
上手くいった。と、
そう思った時、
少女の手が、俺の足を掴んだ。
バランスを崩し、後ろに倒れこむ。
打ち付け、地面と擦れた皮膚に痛みが走る。
夢って、痛みを感じない物なんじゃないのか……?
痛みに続いて、腹部に重みを感じた。
少女が、俺の上に圧し掛かっているからだ。
彼女の上半身は俺に乗っていて、
そして白い手が、俺についた腕に伸びてくる。
痛みは、無い。
顔に影が落ちて、少女が俺を覗き込んできたのを知る。