キミ時間




「大丈夫?落ち着いた?」


心配そうにあたしの顔を覗きこむ。


あたしは雪先輩の教室に行き、腰を下ろしている。

こんな風に雪先輩の前で泣くのは二度目だ。

だからかな、なんだか恥ずかしい。


あたしは雪先輩の問いかけに頷き、先輩を見上げた。




「…咲久、なんかあったの?」



ふんわりとした笑顔。


心が落ち着く。


安心する。


あたしはゆっくりと、口を開いた。



「あたし、彼氏なんていないです」



涙がおさまったあたしは、気づいたら雪先輩に向かって言っていた。

雪先輩は少し驚いた顔をしている。


「こないだ、告白してきた人とは付き合ってないです」


信じてください。


ただ、それだけで救われるから。









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