キミ時間
「栞奈ちゃん、気にしないで。
もう、行こうよ?」
栞奈ちゃんの腕を少し引っ張り、この場から遠ざけようとした。
「優衣里!!話をしよう…」
「だ、だから…話すことなんてなんもない」
話したくもない。
また、あの時のことを思い出したくもない。
「…あの時のことは、すごく悪いと思ってる。
でも、知らなかったんだ
こんなこと言っても、言い訳にしか聞こえないけど…
本当に悪いと思ってる」
――ドキン…
止めて。
それ以上、喋らないで。
もう、思い出したくなんてないんだから。
過去を忘れたいの。
あんな辛い思い、優衣はしたくないの。
「…優衣里?」
あの時のことを思い出すと、彼を見ると、たまらなく胸が痛くなる。
苦しい…
切ない…
「優衣里!!」
「たなかくん…?」
「栞奈、悪い」
えっ?