キミ時間


〔ん~、バイト終わったところ〕

〔あ、それはお疲れです〕


またバイトか。

もう、11時なのに。


〔アハハ。ありがとう〕



それから先輩が家につくまで他愛もない話をする。

彼氏がどこかへと出掛ける度、あたしは雪先輩と連絡をとっている。


たぶん、彼も知ってると思うから、あたしはあえてなにも言わない。

あっちからもなにも言わないし。


それが楽。

お互いに干渉しあわなくて。


そう感じ始めたのは、雪先輩と連絡を取り始めてから。










〔あ、今夜は空が綺麗だよ〕


不意にそんな言葉が彼から発せられた。

あたしはカーテンを開けて、窓から顔を出した。


〔…うわ、めっちゃ星出てる!!〕


思わず出た心の声。


雨続きの梅雨で、なかなか晴れる機会がなかったからこんな風に星を見るのは久しぶりだ。


だから、純粋に感動した。


受話器からはクスクスと笑う声。


〔笑わないでください!〕


〔そんな反応が出てくるとは思わなかったからさ…〕


はぁ、と笑う先輩に聞こえるようにおもいっきりため息をついた。








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