キミ時間
「でもさ、優衣里のやつ、このこと知ったらどうすんだろうな?」
このこと?
優衣の耳は、言葉を発した男子の方へと集中する。
そして、その横にいた壱也の顔が一瞬、曇ったのを優衣は見逃さなかった。
「その話はやめろよ。」
「なんだよ、いいじゃんか別に~」
「別に蒸し返さなくてもいいだろ?」
よく話し声は聞き取れないけど、壱也はこの話をしてほしくないみたい。
優衣たちの存在は気づいてない。
だけど、誰かに聞かれちゃまずいことなんだ。
なんの話?
隠し事?
「別にいいだろ、優衣里に告ったのは、罰ゲームだったなんて俺らはみんな知ってんだから…」
「えっ……」
――ドサッ!!
優衣の口から声が漏れるの同時に、肩から鞄が落ちた。
その物音で、優衣たちがいることに気づいた。
焦ったように目線があう壱也。
「優衣里、いこう」
なにも言葉をはっせない優衣を見て、咲久ちゃんはスタスタと腕をつかみ歩いていく。
一人じゃなくてよかった…。
と、安堵のため息と同時に、涙か溢れだした。