キミ時間
欲張り
――Kanna―
「大地、朝だよ~」
今日からまた、あたしはちゃんと大地を起こすようになった。
約束をしたから。
なにがあっても、あたしが大地を起こすことを。
大地があたしを認めてくれた。
傍にいていいって。
ねぇ、あたし…少しは期待してもいいのかな。
葵ちゃんのこと好きなはずなのに、あたしを選んでくれたのに、なにか理由はあるんだよね。
「おまっ、今日から夏休みだろうが~」
寝起きの大地。
なんだか懐かしいよ。
「うん!知ってるよ~」
「はぁっ?ならなんで起こすんだよ?」
「出掛けよ!!」
ピッ、と快適だった大地の部屋のクーラーを止め、あたしは満面の笑みを向けた。
こうでもしないと起きないから。
「チッ。
俺の予定も聞かないで、よく出来んな」
「え!?大地に予定あるの?」
「……ねぇよ」
その言葉に、あたしはにんまりと笑った。
「じゃあ、決まりだね」
下で待ってるよ。
と、言いながら、あたしは大地の部屋を出た。