キミ時間
少しドキドキとした心臓をおさえようと、深呼吸をする。
自分で誘っておいて、いまさら緊張なんてしてる。
暫くすると、階段を降りてくる音。
大地かきた…。
なんて、子どもみたいにワクワクしている。
「…は、だから無理。
前にも言ったように、もう俺は優しくとかできないから」
不意に廊下からそんな子えが聞こえた。
電話?
誰と話してるのかわからないけど、なんだか苛立ってる。
「あ、栞奈…行くぞ」
パチン、と閉じられた携帯を大地はズボンのポケットにしまった。
今、誰と話してたんだろう。
なんて、一瞬だけ頭をよぎったけど、そんなことはすぐに気にならなくなった。
なんて現金なやつ。
大地の隣にいるだけで、今はなにも考えられないんだから。
「どこいくの?」
「え、○○遊園地だよ!!」
「あ~、なんか前から行きたがってたな」
去年オープンしたばかりの遊園地。
そこに大地と、前から行きたかった。
だから、夏休みを、利用していくんだ。