キミ時間


「でも俺、そんな金ないから」


「へ!?」



一刀両断。

はぁ、と軽くため息をはく大地。


「俺、部活とかやってるからバイトなんてしてないし、金ないのは当たり前だって」


そこまで考えなかった。


自分がバイトしてるから、ある程度は持ってるけど、大地は部活やってるんだから。

あ~、あたしのバカ!!


「ごめん、」


なんか泣きそう。


勝手にだけど、楽しみにしてたのに。




「行くぞ、栞奈」


ドキン…


今にも零れそうな涙の視界には、あたしの手を握る大地の手。


それを見た瞬間に、涙がこぼれた。


「今日は遊園地には行かないけど、他のところに行くぞ」


「うん…」



大地の優しいところが好き。


こうやって、いつもあたしを救ってくれる。


好き。
この二文字が、あたしの中で響き渡る。





キュッ、と繋がれた手を小さく握り返す。


離れないように。







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