キミ時間



なんだろう、胸騒ぎかする。


二度あることは、三度ある。

っていうか。


あたしは、目の前で鳴る携帯を呆然と眺めていた。


もしかしたら。


そんな風に頭によぎるのは、こないだのことがあったからだ。


「栞奈?」


ビクッ!!


手を伸ばしかけていたあたしは、大地の声に肩をびくつかせた。


後ろを振り替えると、カレーを持った大地。


「あ、携帯なってたよ」


たぶんあたし、今、ひきつってるんだろうな。


無理矢理作った笑みを思い浮かべていた。


「………。」


無言で携帯を開き、また、無言で携帯を閉じた。


相手は誰?


なんて聞けるほど、あたしは神経図太くない。


だけど、その相手が誰か知りたくて。


「ど、どうかした?」


声が震えている。


「…あ~うん、」


コホッ、と咳払いをすると、真っ直ぐにあたしに視線がうつる。




「…葵から」



その言葉に、なにも思わなかった。


ただ、まただ、と思っただけ。






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