キミ時間


あたし、どんな顔してるのかな。

大地が困ったように、あたしを見てくる。


あたしたち、付き合ってないし、大地は葵ちゃんが好きなんだから、なにも言えない。


無言で置いてある水を口に含んだ。


「俺、行かないよ。」


「え、」


「だからさ、そんな顔すんなよ…」


ドキン…


なんで、そんなこと言うの?


大地、もしかして、あたしの気持ち…


そう思ったとたん、体がいっきに熱くなった。


「あ、いや、ごめん…」


「だいち?」



それは、なにに対してのごめん?


「………。」


大地の気持ちが分からない。


「あ、冷めちゃうから…食べよう?」


強がって、気にしないふりして、あたしら残りのラーメンをたいらげた。


本当は気持ちがグチャグチャしてて、ラーメンなんて喉にとおらないのに。

無理矢理流し込む。


涙も一緒に、胃の中に送り込んだ。





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