キミ時間
「あの、先輩…一つだけでいいんで、お願い聞いてください」
なんて馬鹿なお願い。
周りから見たらそう言われるかもしれない。
だけど、あたしは自分の気持ちを先輩に伝えた。
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「咲久、おまたせ…」
「あ、いえ。休みの日に呼び出したのはあたしなんで、」
久々に見る、先輩の私服姿。
胸が少しだけうずいた。
今日は夏休み初日。
この日、あたしら無理を言ってお願いをした。
最初で最後のデートをしてほしいと。
「で、手でも繋ぐ?」
「えぇぇえっっ!?」
いきなりの言葉に思わず驚いてしまった。
そんなあたしを見て、先輩はクスクスと笑っている。
からかわれた。
「…ハハ、ごめんごめん
どこに行こうか」
こんなときでも先輩は優しい。
あたしは少し微笑んでから、
「行きたいところあるんです」
と、先輩のてをとって電車に乗った。