キミ時間
「こんなこと言うのは失礼って分かるんだけど、咲久には隠しておけないよ」
ごめん、と呟いた先輩。
あたしは、何て言えばいいのかも分からずに。
ただ、立ち尽くしていた。
「どこが似てるかって聞かれたら分からないけど、どことなく…彼女に似てるんだ」
「同じ高校の人?」
「ううん、俺の幼馴染み
近くの女子高に通ってるんだ」
「告白、しないんですか?」
「うん。アイツには、好きな男がいるから」
そういった先輩の顔は、あたしを振った時みたいに、悲しくて切なそうな顔をしていた。
同時に、あたしの胸も張り裂けそうになる。
「………ッッ」
抱きしめたい。
理性なんてなかったら、あたしきっと両手を伸ばしていたかもしれない。
それくらい先輩が…愛おしく感じた。
振られた今でも好きなんだ。
想いを留めてる先輩は、きっともっと辛いんだ。
「先輩…、星を見ましょう」
泣きそうなのをこらえて、あたしは先輩の手を強く握りしめた。
話さないように…。
離れないように…。