キミ時間


「こんな風に思えたのも、咲久のおかげだよ」


そう言いながら、あたしの頭をペットを撫でるように撫でてくる。

無邪気に笑う先輩。


今日初めて、そんな風に笑う先輩を見た気がする。


「咲久…ありがとう。


 そんでさ、俺が言うのもなんだけど、次は幸せになれよ


 けーやとかみたいなんじゃなくて、自分でちゃんと好きになった相手にしろよな」




「先輩も、次恋するならさ、彼氏いない人にしてくださいよね」



「そうだね。」



顔を見合わせて笑った。

お腹がいたくなるくらい。




こんな風に人を好きになるのも悪くないかな。






先輩…


雪先輩…



大好きでした。










あたしと雪先輩は、駅で別れた。


お互い違う電車に乗って。


【今日はありがとうございました。】


それだけメールを送った。




地元についたら、電話を掛けよう。

気持ちを入れ換えたあたしは、今までさんざん酷いことをした彼に、電話をかけることを決めた。











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