キミ時間


「ゆいり、だよね?」


本人を目の前にして、そんな言葉を発する壱也。

優衣の存在がここにあることが信じられないといった感じ。

無理もないか。

こないだ会ったときは、さんざんだったから。


「あのね、」

「ごめん!!」


え…??


優衣が言葉を発する前に、壱也が勢いよく頭を下げてきた。

それを見ながら、今度は優衣が驚いている。



「ずっと、謝りたかったんだ…中学のときのこと。

 こないだは久しぶりに会ったから、興奮してさ…」


壱也も、あの時のこと気にかけててくれたんだ。


「だから、本当にごめん
 優衣里に辛い思いさせて

 優衣里が俺のせいで男嫌いになったって、大橋から聞いたよ」


「あ、ううん
 もう、たぶん…平気だから」


変えてもらったから。

知ったから。


みんながみんな、そんな人だけじゃないって。



彼に……。









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