キミ時間


今でも優衣が好き。


そう言った彼の言葉は、嘘じゃないと思った。


じゃあ、なんで??


「なんで、罰ゲームなんかで優衣と付き合ったの?」


あの頃は好きじゃなかった?

それとも、あの頃から?


ずっと聞きたかった。

なんで優衣と付き合ったのか。




「ごめん…」


ポロポロと流れる涙。

ぼやけた視界の中で、優衣は壱也をとらえた。


彼が今、どんな表情かなんて分からない。


ただ、ごめん、と呟いた彼の言葉だけが頭にこだまする。




「好きだったんだ。あの時も」


「え…?」


「だからさ、嫌だったんだ

 他のやつがゲームに負けて、優衣里と付き合うのが
 なら、俺が負けて付き合えばいいんだって」


「そんなの、あの時行ってくれなきゃ分からないじゃん」


なにも話さないで、誤解も解かれないまま。

優衣たちは3年もの間、ギクシャクしてたんだ。


「コホン」


不意に咳払いする音が聞こえた。













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