キミ時間


「あ、咲久ちゃんおはよう!!」


教室に入るとすでに優衣里が来ていて、本を読んでいた。


「おはよ。早いね」

「今日は日直だからね」


チラッと黒板を見てみると、日直のところに優衣里と隣の席の男子の名前が書いてあった。


「咲久ちゃんも早いね?」


パタン、と本を閉じ、あたしの方を見てくる。


ニコッ、と笑った優衣里からはなにかを察知したような気がした。



さすが中学からの付き合いだな。


優衣里とは中学2年の頃からの付き合いだから、なんでも見通される。


「…啓矢と別れようと思うんだ。」


誰もいない教室に響いた声。

こうして優衣里に言ったのは、何人目になるだろうか。


付き合っても長続きしない。


それがあたし。


告白されて、なんとなく付き合って、なにも感じないまま別れてしまう。


「……咲久ちゃん、好きな人いるでしょ?」


「え??」




それは思いがけない一言だった。


いつものように、お説教されるのかと思ったけど…。





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