キミ時間


おどろいた顔で見ているあたしに、呆れたような顔を見せる大地。


今、なんて言った??


「俺、一度でもお前に葵が好きなんて言ったか?」


あたしは大地が葵ちゃんと行動を共にし始めた辺りの記憶を呼び起こそうとした。


「……あれ?」


あたし、そんなこと聞いたっけ?


たしかに、大地が仲良い男の子とかはそんなこと言ってたけど、大地が言ってた記憶がない。

それって、つまり…あたしの勘違い?


でも、あんな風に一人の女の子と常に一緒にいるんだから、やっぱり好きなんじゃ…。


でもでも、


「うるさい。一人言漏れてるから」


「あ゛、」


言われて、両手で口をおさえ、あたしは大地を見た。

ため息を盛大に漏らす大地と目があった。


真っ直ぐに…あたしを見る大地。


苦笑いしながら、あたしの頭をポンポンと優しく撫でてくれる。


大地…なんでそんなに優しいの?


あたしのこと、どう思ってる。


聞きたいのに聞けない。

聞いて、関係を壊したくない。


だけど溢れだしてしまう想いを押さえることなんて、もうできないかもしれない。








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