キミ時間
たしかに、あたしは大地に想いを告げようとした。
でも今のは、あたしの声じゃない。
あたしが言ったんじゃない。
「えーー…?」
今のは大地?
そう考えていたら、驚いて止まっていた涙はまた溢れだした。
「泣き虫だな~、栞奈は」
乱暴にあたしの頭をなで回す。
何回も何回も。
そんな行動が愛おしい。
「俺さ、葵との間にちょっと問題があって、ずっと栞奈には辛い思いさせた
たぶん…付き合うとかなったら葵から、もしかしたら危害が来るかもって考えたら、栞奈を突き放すしかできなくなってた
だけど俺、どう頑張っても栞奈のことが好きなんだ
勝手かもしれないけど、葵のことをすべて聞いてから俺と付き合うか決めてくんない?」
まっすぐ向き合ったあたしたち。
大地の揺らがない瞳にあたしは頷いた。
「あれ?でもあたし、大地のこと好きなんていってないよ!!」
「いやいや、お前分かりやすいし。
さすがに俺でも気づくわ」
なんて、普通に会話をしながら、あたしたちは映画を見るのは止めて大地の家へと移動した。