キミ時間


「おじゃましまーす…」


シーン……


いつもならいの一番におばさんが出迎えてくれるのに、今日はやけに静かだ。


「二人とも今日は遅くなるらしいよ。」

「えっ、あ~そなんだ…」


難とも微妙な空気が流れる。

この家に二人でいることなんて、小学生以来かもしれない。

それに、さっきのやり取りがあってから、あたしたちの距離、少し近くなってる気がする。


だからかな、なんだか緊張する。


こうして今、二人でいることに。


「先に部屋いってろ。俺、飲み物とってくるから」

「あ、うん…」


あたしは一人慣れた階段を上がって、大地の部屋に入った。

いつも通りなにもない部屋。

必要最低限の物しかなくて、落ち着く空間。




“好きだよ。”




こんな風に静かだからかな。

さっきの大地があたしに言ってくれた言葉が、頭の中でこだまする。


それだけで、心臓がドキドキといっている。




――ガチャ


「なんで立ってんの?」


飲み物を持ってきてくれた大地は、あたしが呆然と立っているのを見ている。

それに気がついたあたしは、何でもない、というかのように首を横に振り、その場に座り込んだ。





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