キミ時間
「栞奈はさ、なんで俺が葵のこと好きだと思ったの?」
「え、いきなりどうしたの??」
あたしの目の前に座りコーヒーを一口飲む大地。
「ま、周りの人が噂してたから。」
「ふ~ん…。俺からなんも聞かずにそっちを信じたんだ?」
「いっ今はそんな話じゃないじゃん!!」
なんで話をそらそうとするの?
話をしようって言ったのは、大地じゃない。
それとも、やっぱり葵ちゃんのことがあるからあたしとは付き合いたくなくなったの?
そんなことを考えてたら、あたしはまた涙が出てきた。
「はぁ…」
顔を下に向けていたあたしは、頭上で大地がため息をはいたのが分かった。
その音がなんとも悲しくて、切なく感じた。
「泣くなよ…。」
「だって大地が、」
あ…またその顔だ。
たまに見せる、なんとも言えない困った顔。
あたしはまた、大地にそんな顔をさせてるんだ。
「分かれよ。怖いんだよ、お前の性格からして、葵の所に行けとか言われんのが
少しは察しろよな。」
「だいち?」
不意にだいちのてがあたしの手へと伸びてきた。
初めて触れられるわけじゃないし、こんな状況なのに、ドキドキしてるあたしがいる。
「あ~やば。触りたくなった」
「へっ!?」
「栞奈は分からなくて良いから」
コクンとまた一口コーヒーを飲んだ。
それを見て、あたしもつられてコップにはいっているコーヒーを飲む。
口の中いっぱいにあまさが伝わる。
「じゃあ、俺が葵と初めて話した時から話そうか」
大地は重い雰囲気の中で話を始めた。