キミ時間
大地 said
俺は栞奈が好きで、たぶん栞奈も俺のことが好きなんだと思う。
そんな自信過剰なことを考えていた、高校一年の春。
今から、三ヶ月ほど前の話。
「じゃあ、二人とも委員会よろしく」
なんて、軽快な感じにそう告げてホームルームを終えて教室を去る担任。
面倒くさいことになったな。
「あ、あの…三上くん」
俺がだるそうに帰り支度をしていると、後ろからとれを呼ぶ声。
「あ……矢口さん?」
人の名前を覚えるのが苦手な俺は、まだうろ覚えのため少し疑問型にしてしまったが、この子は間違いなく矢口さんだ。
そう思ったのは、彼女の顔を見たから。
うちのクラスでダントツにかわいい女子。
として、男子の間で人気だったから。
俺は興味なんてなかったから、顔をあんまり把握してなかったんだけど、見た瞬間に分かった。
この子はかわいい部類の子だって。