キミ時間
「あたしもクラス委員だから、よろしくね」
ニコッと笑っただけで、後ろ男子がうるさい。
普通のやつだったら、惚れてるんだろうけど、俺には栞奈がいるから関係ない。
「あ、うん。よろしくな」
後ろの視線を気にしながら、俺は彼女と初めての会話をした。
「葵ー、帰ろうよ~」
「あ、待ってーー!!」
友達の呼び掛けに答える彼女。
俺も帰ろう。
鞄を持ち、彼女に背を向けて歩き出そうとした瞬間。
「三上くん待って!?」
「なに?」
「下の名前で呼んで良い?」
「え…?」
それはあまりにも突然すぎて、俺は少し戸惑った。
そんなのお構いなしに、彼女はニコニコとしているだけ。
まあ、別に名前なら。
「あ~別にいいよ」
どうせ深い意味はないんだから。
俺はコクンとひとつ頷いた。
「ありがとう。
あたしのことも、葵でいいよ?
じゃあ、あたし行くね
バイバイ、大地」
は………??
彼女は素早く鞄をつかむと、友達のところへと行ってしまった。