キミ時間


次の日から俺は委員会の仕事をすることになった。

クラス委員。

なんて肩書きだけはかっこいいんだけど、言わせてみれば雑用係。


なのに栞奈は、すごいね、って言いながら目を輝かせるから頑張ってみたり。


「あ、大地おはよう」


それは簡単に言うと、葵との距離も縮めていく。


「おはよう。」


いつも元気に、俺より早く来て仕事をしている。

話す量も初めよりもだいぶ増えた。


さらには、俺と葵が付き合ってるんじゃないかって気にするやつもではじめた。


俺はそんなことはないから、気にしなかった。

葵はどう思ってたか知らないし。


だけど、なんとなく伝わる。


葵からの視線。

気づいてるようで、気にしない俺の態度。


それが逆に彼女を傷付けていた。




「大地ってさ、好きな子いるの?」


それまで全くといっていいほど、そんな話をしなかった葵からの言葉。


俺は少しビックリとしながら、頷いて見せた。


「あ~そうなんだ」

「なんで、いきなり?」

「いや、あのね、聞いたの…みんなに」


なにを?


「大地好きな人がいるって。」

「あ~そなんだ」


栞奈が好きってこと知ってるやつは、何人かいるからな。

でも、なんで葵に?


「あたしも、大地が好き。」


「はっ!?」


その思いがけないような言葉に、俺は驚きを現した。


今の流れで、なんで告ってくるんだよ。

俺が栞奈の子と好きなのに…。









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