キミ時間
教室にいくとまだ誰もいない。
田中くんは、サッカー部の朝練に顔を出しにいった。
だから、優衣一人。
本でも読むか…。
パラパラと読んでいくと、そのうち咲久ちゃんがきた。
めずらしく早いな…。
なんて、感心したのもつかの間。
咲久ちゃんの表情はいつもと違う。
もしかして、また、かな。
そんなことを思っていると、
「別れようと思うんだよね」
と、咲久ちゃんが言葉を発した。
やっぱりか。
予想していた通りだから、優衣はだいぶ平常心を保っている。
咲久ちゃん、すぐに顔に出るからな~。
それにしても、なんだかいつもと違う。
悩んでいると言うか、なんというか。
いつもはもっと、あっけらかんとしているのに。
あ………!!
「……咲久ちゃん、好きな人でもいるの?」
思わず声が漏れた。