キミ時間
目を丸くして驚く咲久ちゃん。
しまったあ、と思いながら頭を抱えていると、鞄からバイブ音が聞こえた。
咲久ちゃんは鞄から携帯を取り出した。
「………。」
さっきまでの雰囲気はどこへやら。
咲久ちゃんの顔は緩み、落ち着いている。
「雪先輩」
と、呟いた咲久ちゃんのはなんだか気恥ずかしそうな声。
たぶん、本人は気づいていないんだろうな。
こんな風に、咲久ちゃんが誰かをおもうようになるなんて、優衣は感激だよ。
なんて、感動に浸っていると、気づいたら周りに人が集まっていた。
これは本人が気づくまでは、言わない方がいいかな。
優衣は一人そう決心した。